海外にいると恋しくなる日本の食べ物ベスト5をあげるとすれば、私の場合そこにおでんがランクインします。
住む場所によって材料や調味料も限られますが、それでもできるだけ美味しいおでんが食べたくて、コツコツ改良してきた私の海外版おでんレシピを紹介します。
前置き・油揚げについて
先日、私の住むフィリピン・セブに、8ヶ月ぶりに油揚げが入荷しましたー!
いや~これが買えるまで、長かったです。
自分で豆腐を揚げて作ってみたり、
マニラ旅行に行って、わざわざマニラの日本食材店で探したり。
個人的に、おでんにはもちきんちゃくのために油揚げが必須です。
その油揚げがやっと買えたので、さっそく他の材料も買い足して、8ヶ月食べたかったおでんを作りました。
おでんの具(フィリピン・セブの個人的ベスト)
実はフィリピン・セブでは、たまーに日本食材店やスーパーの冷凍食品コーナーで「紀文」のおでんセットが売られていることがあります。
練り物数種類とこんにゃく、おでんのつゆの素がパックになっているやつです。
でも写真のように、いつのやつ?ってくらい霜だらけのことも多いです。
それにこんにゃくが小さかったり、好きな練り物の量を増やしたりできないので、セブ在住12年間で2回くらい買いましたが、今は自分で具をセレクトするようになりました。
私がフィリピンでおでんに入れる定番の具材は以下のものです。
①大根
フィリピンにはローカル大根もありますが、筋張っていて甘みや水分が少なく、日本の大根とは別物です。
そこで、日本の大根に近い甘みや水分がある、このKorean Radishを使います。
②卵
③はんぺん
④こんにゃく
⑤練り物1:Seafood Tofu(シーフードトーフ)
別記事でも紹介したフィリピンの魚のすり身豆腐です。ふわふわしていてはんぺんとかまぼこの中間のような感じです。
⑥練り物2:ミニちくわ
日本のちくわは日本食材店町屋マートで買える時もあるのですが、品切れしていることが多く、値段も高いのでこちらのミニちくわを使います。
これも別記事で紹介したことがありますが、セブ市の隣にあるマンダウェ市の会社が輸入販売しているものです。
⑦もち巾着
セブの手作り日本食材デリバリー店「やまとや」さんの手作りお餅と、日本食材店「町屋マート」の油揚げでもち巾着を作ります。
⑧トマト
これは気持ち悪い、と言う人もいるかもしれませんが、私はおだし味のトマトが大好きなんです…。煮崩れないように食べる直前に加えます。
チェリートマトより一回り大きいキッチントマトを使うこともあります。
⑨湯葉(今回は無し)
アヤラセンターセブのThe Market Placeで買える冷凍湯葉を入れることも多いです。
これ、おでんに入れると美味しいんですが今回は買い置きが切れていたので入れられませんでした。
上の冷凍湯葉はパッケージに漢字が書かれていたので最初中国産かと思ったのですが、マレーシア産のものです。
中国産の乾燥湯葉より厚みがあって、おでんや炊き込みご飯に入れると美味しいです。
海外おでんの問題点と解決法
海外でおでんを作る時、日本で作る場合と違っていくつか問題があります。
→ オイスターソースを使う!
オイスターソースを使うと聞くと、中華風?それおいしい?と思うかもしれませんが、全然和風に仕上がるんです!
おでんのつゆに牡蠣のうまみやコクを足せる上に、フィリピンではオイスターソースは普通のスーパーにも何種類ものメーカーが置いてある超定番調味料なので入手も簡単です。
今私が使っているIHコンロは、弱火が全然弱くない(日本の中火くらい)ポンコツです。
フィリピンで住んだ他の家のガスコンロも、弱火が強すぎる(もしくは弱火にすると消える)ものがとても多く、とにかく弱火でコトコト煮込むような料理は作りづらいです。
そこで、大根などは下茹でをしっかりして、短時間で味が染みる工夫(熱い大根を冷たいつゆに入れる)をします。
さらに、煮物は冷める時に味が染みるので、加熱後ゆっくり温度を下げる時間をとるために、厚手の鍋を使っています。
そうすると、実際の煮込み時間は25分~40分ほどでも、しっかり味のしみたおでんが完成します。
ちなみに私がおでんの時に使っているのは日本から持ってきたルクルーゼの鋳物ホーロー鍋です。
鋳物ホーローはローカルなお店ではあまり見かけませんが、マニラだとStaubの鋳物ホーロー鍋が買えるお店(BGCのアベンソンタワー1階やルスタンスデパートなど)もありますし、セブでも家具店のMandaue Foamでお手頃鋳物ホーロー鍋=Cast Iron Potが売られていました。
海外おでんのレシピ
<おでん 材料 3食分くらい>
- 大根 12~15cmくらい
- こんにゃく 1枚
- 卵 3個
- 切り餅 1個
- 油揚げ 1枚
- Seafood Tofu 6個
- ミニちくわ 6~9個
- はんぺん 1枚
- プチトマト=Cherry Tomato 6個
- ネギ 1~2本(青い部分はもち巾着の紐用、白い部分はトッピング用)
- 水 700ml
- 昆布 10cm
- 顆粒かつおだしの素 小さじ1
- 砂糖 小さじ1
- みりん 大さじ1
- オイスターソース 大さじ1
- 酒 大さじ1/2
- 醤油 小さじ1/2
- 塩 小さじ1/2
※私の味付けは薄味寄りだと思います。濃くしたい場合はまずオイスターソースを多めにしてください。醤油を増やしすぎるとおでんっぽくなくなります。
①大根は2cmほどの輪切りにしてから皮をむき、面取りをして十字の切れ込みを入れます。
鍋に米のとぎ汁(なければ水+生米少々)と大根を入れて火にかけ、沸騰してから弱火で20~25分程、串が刺さるくらいまでゆでます。
こんな感じになったらお湯を捨て、表面の米ぬかを落とすために軽く洗ってから、ボウルに入れておきます。
②こんにゃくは塩(分量外)をかけて軽くもみ、表面に浅く斜め格子の包丁を入れます。
その後二等分してから斜めに切って三角形×4つにします。
鍋にお湯を沸かし、こんにゃくを入れて5分ゆでます。
この時、もち巾着の袋を止める紐として使うネギの青い部分も一緒にゆでておきます。
5分たったらこんにゃくとネギを取り出して、①のボウルに入れておきます。(お湯は③で再利用します)
③卵はこんにゃくを茹でたお湯でゆで卵にします。(飲料水節約のためで、味的な意味はありません)
常温の卵3つを②の鍋に入れ、7分ゆでます。7分たったら火を止めて、そのままお湯の中で2分放置します。
その後、卵のお尻の部分(とがっていないほう)の殻にヒビを入れてから、水道水に保冷剤か氷を入れた冷水に入れて冷ましておきます。
完全に冷めてから殻をむいておきます。
④もち巾着を作ります。
油揚げは熱湯をかけて解凍し、1枚を真ん中から半分に切って2つにし、その上で菜箸をコロコロ転がします。
すると自然に袋状になるので、そこに一口大に切ったお餅(やまとやのお餅なら1切れを半分にカットしたもの)を入れ、②でゆでておいた青ネギで縛ってきんちゃく状にします。
お餅は煮込むと溶けるので、食べる10分前くらいに加えます。
⑤おでんだしを作ります。
厚手のお鍋に水700ml、濡れキッチンペーパーで拭いた出し昆布、顆粒だしの素と砂糖各小さじ1、みりんとオイスターソース各大さじ1、酒大さじ1/2、醤油と塩各小さじ1/2を入れて軽く混ぜます。
これは火にかけないで置いておきます。
⑥大根・こんにゃく・殻をむいたゆで卵を温めます。
別鍋にお湯を沸かし、大根とこんにゃくとゆで卵を入れて、3~5分間弱火で芯まで温めます。
十分温まったら具を取り出して、すぐに⑤の冷たいおでんだしに入れていきます。(残ったお湯は⑦で再利用します)
この温度差が最大のポイントで、冷たいおだしに温かい具を入れることで、浸透圧?によりだしが一気に中まで染みます。
まだ火にかけてない状態で、大根がほんのり色づいてきます。このまま5分ほど置いておきます。
⑦⑥で具を温めるのに使ったお湯を、Seafood Tofuやミニちくわなどの練り物類を入れたボウルに入れて、解凍と油抜きを一緒にします。
軽くお箸でしゃぶしゃぶして油を落としてからお湯を捨てます。
⑧やっとおでんだしに点火します。
大根・こんにゃく・卵の入った鍋を火にかけ、だしが沸いたら弱火にして蓋をせずに10分弱火で煮ます。
そこにもち巾着以外の⑦の練り物を加えてもう10分、蓋をせずに弱火で煮ます。
合計20分煮たら火を止めて、ここから蓋をしてゆっくり冷ましていきます。
なるべく煮立たせず、蓋をしないで弱火で静かに煮ると透き通った綺麗なおだしになります。
蓋をしてぐつぐつさせたり練り物を入れてから長く煮すぎたりすると、すぐにスープが濁ってしまいます。
⑨火を止めてから冷めるまで、私の鋳物ホーロー鍋だと2時間くらいかかります。
そこまで分厚くない鍋の場合、蓋をした鍋ごとバスタオルで包んで、ゆっくり温度が下がるようにした方が味が染みやすいそうです。
⑩2時間たって冷めてきたら、もう一度火にかけて、つゆが沸いてから弱火で3分ほど温めたらまた火を止めて2時間冷まします。
気温が高い日などは粗熱がとれてから冷蔵庫に入れるといいです。
⑪やっと食べられます。
食べる前にもう一度温めますが、この時に待機していた以下の具(トマト・はんぺん・もち巾着)を入れます。
具の温め時間は、もち巾着は8~10分、トマトは2~3分、はんぺんは1分くらいがベストでしょうか。
巾着の中のお餅が柔らかくなり、トマトが破れるか破れないかくらいのところで火を止めて、完成です!
1日目のおでんは上品な味なので、私は葱の小口切りをちらし、生姜醤油か柚子胡椒を添えて食べることが多いです。
上の写真は煮込み時間約30分+冷まし時間4時間のもので、色は薄めですが、コツのおかげで大根には中までしっかり味が染みています。
その後お鍋ごと冷蔵庫に入れておき、翌日冷蔵庫から出して温めたものがこちらです。
昨日より少し味が濃くなり、こちらの方がオーソドックスなザ・関西風おでんの味がします。
煮込み時間は短いものの、下ごしらえや冷まし時間はかかりますし、1日家にいる・あんまり暑くない or エアコンかけっぱなし(鍋ごと冷ます時に傷まないように)・冷蔵庫に鍋を入れるスペースがある時にしか作れませんが、だからこそレア感があり完成時の達成感が大きい料理です。
時間と気力と材料がある方はぜひ作ってみてください!
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