今日は、台湾唐揚げ・ジーパイ(鶏排)の自分的ベストレシピを紹介したいと思います。
台湾唐揚げジーパイと五香粉について
少し前に日本でも流行っていたジーパイですが、私はこれが好きで、コロナ前にはセブにある台湾のミルクティーチェーン「Chatime」に行っては良く食べていました。
ところが!2020年にコロナによるロックダウンでセブのあらゆる飲食店が一時休業した後、再開したChatimeではフードメニューが無くなってしまったんです。(2022年9月現在、セブおよびマニラでもフードメニューは確認できず)
その後ほかの台湾系のお店、セブでは「Bubble Bee Tea House」や「Jolly Bubble Taiwan Milk Tea」でもジーパイを食べてみたのですが、いまいち好きな味付けのものが見つからず。
私がChatimeのジーパイを気に入っていた理由は、五香粉(ウーシャンフェン/Five Spice Powder)の香りがあまりしないのにちゃんと複雑なスパイシーさがある点でした。
台湾では、八角(Star Anise)というシナモンのクセをもっと強くしたような、漢方っぽい香りのスパイスがよく使われています。
その八角に花椒やシナモンやクローブ等を合わせたミックススパイスの五香粉が、本場のほとんどのジーパイレシピには入っているようです。
そして五香粉は、フィリピンでは日本よりも普及しているように思います。
Ngohiong(めっちゃ発音難しい)というフィリピン・セブの揚げ春巻みたいなローカル屋台スナックにも、この五香粉が使われています。
ただ、私はこの五香粉、というか八角とシナモンの香りが苦手なんです。
そこで、五香粉なしで美味しいジーパイを作ろうと、何度も改良してレシピを完成させました。
フィリピンで手に入る材料(山椒とガラムマサラはセブの日本食材店で購入)で作る、ジーパイ・五香粉なしバージョンのレシピを紹介します!
五香粉なしジーパイの作り方
<五香粉なしジーパイのレシピ 材料 2枚分>
- 鶏むね肉 1枚・400gくらい
- 酒 大さじ1
- おろししょうが 小さじ2
- おろしにんにく 小さじ1
- 醤油 小さじ1
- 蜂蜜 小さじ1/2
- 塩 小さじ1/4
- ココナッツシュガー 小さじ1/4
- カレー粉 小さじ1/3
- クミン 小さじ1/5
- ガラムマサラ 小さじ1/5
- 乾燥こぶみかんの葉=Dried Kaffir Lime Leaves 2枚
- 胡椒 小さじ1/2
- ごま油 小さじ1
- 溶き卵 1/2個分
- タピオカ粉=Tapioca Starch 30g
- 薄力粉=Cake Flour 30g
- 揚げ油(私は米ぬか油) 適量
~仕上げの粉(唐揚げに良くあうミックススパイス)~
- ホワイトペッパー 4
- 山椒 2~3
- グラニュー糖 2
- 味の素 1
- チリパウダー 適量
①鶏むね肉1枚は2つに切り、1切れずつまな板にのせ、麺棒または細めのビンにラップを巻いたもの等で叩いて、1cmほどの薄さに伸ばします。
こちらが叩く前の鶏むね肉1/2枚です。
これでしばらく叩くと…、
こんな感じになります。
②叩いて薄くした鶏肉2切れ(鶏むね肉1枚分)をジッパー袋に入れ、調味料を全部入れて揉みこみます。
調味料は、{酒大さじ1、おろししょうが小さじ2、おろしにんにく小さじ1、醤油小さじ1、蜂蜜小さじ1/2、塩小さじ1/4、ココナッツシュガー小さじ1/4、カレー粉小さじ1/3、クミン小さじ1/5、ガラムマサラ小さじ1/5、こぶみかんの葉2枚を4つにちぎったもの、胡椒小さじ1/2、ごま油小さじ1}です。
しっかり揉みこんでから、冷蔵庫に入れて30分~1時間おいておきます。
③その間に、揚げた後にかけるミックススパイスを作ります。
ホワイトペッパー4:山椒2~3:グラニュー糖2:味の素1の割合で混ぜます。
このスパイス、普通の唐揚げにもとても合うので、私は蓋つきの保存容器に全部入れて振って作っておき、ジーパイ以外の揚げ物にも使っています。
ジーパイ用にはあとでチリパウダーを加えます。
④冷蔵庫から出したジーパイに衣をつけます。
まず余分な漬け汁があれば、ジッパー袋を傾けて少し捨てます。
その後ジッパー袋に溶き卵1/2個分を入れてよく揉みこみます。
ジッパー袋から出したお肉に、タピオカ粉30gと薄力粉30gを合わせた粉をしっかりとまぶしつけ、170度の揚げ油で6~8分ほど揚げます。
漬け汁と卵でドロドロになっているほど、粉がしっかりついてカリカリ衣になりやすいです。
途中で1~2回ひっくり返して、全体がいい色になったら油をきります。
⑤③で作ったミックススパイスとチリパウダーを混ぜます。
揚がったジーパイを1cm幅にカットし、ミックスパウダーをかけてつまようじを刺して完成です!
レシピ改良の軌跡と失敗例
このジーパイレシピ、私が理想とするChatimeの「八角やシナモンの味がしないのに複雑なスパイシーさのあるジーパイ」に近づけるために、7回以上は改良を重ねました。
まあ基本唐揚げのようなものなので、少しくらいおかしくてもものすごくまずくはならない(1回を除いて)のですが、6回目くらいまではずっと「何かが足りない…」と思い続けていました。
上で紹介したのは7回目か8回目でやっと満足したレシピですが、せっかくなので失敗例も紹介しておきます。
失敗①カレー粉・醤油を入れすぎた
上のレシピではカレー粉小さじ1/3・醤油小さじ1とありますが、これ以上入れすぎるとジーパイではない別の何かになります。
最初はカレー粉をもう少し多く入れていたのですが、カレー味が感じられるほど入れるとインド風フライドチキンになりましたし、揚げた時の色を濃くしたいと思って醤油を小さじ2ほど入れた時はただの唐揚げになりました。
よくわからないけど複雑で美味しい、という絶妙なバランスのスパイシーさにするには、味の強いカレー粉と醤油の分量は上のレシピ程度に抑えて作るのがお勧めです。
失敗②タピオカ粉のみで揚げたら食感が微妙
既存のジーパイのレシピを見ていると、衣としてタピオカ粉(台湾では地瓜粉)のみで揚げるものが結構あります。
ただ、セブで買えるタピオカ粉の種類が違うのかなんなのか、私がタピオカ粉のみで揚げた時は衣が油を吸いすぎてちょっとべちゃっとした仕上がりになりました。
また、揚げている時に衣がはがれやすく、完成時の見た目があまり良くないときもありました。
個人的に、ジーパイはしっかりめの衣がついている方が美味しいと思います。
何パターンか試した結果、溶き卵にくぐらせてから、タピオカ粉と薄力粉を1:1で混ぜた衣をつけることで、クリスピーかつ剥がれにくい好きな感じの衣に仕上げることができました。
失敗③甘みとほのかな柑橘風味をつけるのにみかんを使った結果
日本にいる友だちが日本のアジア料理店で食べたジーパイがすごく美味しかったというので聞いてみると「なんかちょっとだけ甘くて、柑橘っぽい風味もしてすごく複雑な味だった」ということでした。
その頃私はセブでChatimeのジーパイ再現に何度目かの挑戦をして行き詰まっていたので、それを聞いてレシピの漬け汁に砂糖やカラマンシー(フィリピンで一般的な柑橘)を加えたりしてみましたが、いまいち美味しくなりません。
そこで、一度思い切って「缶詰のみかんをつぶして漬け汁に加える」という暴挙に出たことがありました。結果、相当まずいものが出来上がりました。
あれは「みかんと鶏肉を一緒に揚げた味」でしかなく、自分で作った料理の中でトップ3に入るまずさでした。
この失敗にへこんでしばらくジーパイ作りはお休みしたのですが、ある日セブのスーパーでこぶみかんの葉(Kaffir Lime Leaf)のドライバージョンをみつけました。これはタイ料理によく使われる柑橘系の香りの葉っぱで、トムヤムクンやグリーンカレーを作る時に入れると一気に本格的になります。
これはジーパイに使えるのでは!?と思って速攻ドライのものを購入し、漬け汁にこぶみかんの葉を半分にちぎって蜂蜜と一緒に入れてみると、スパイシーな中に自然な甘みと柑橘の香りがほのかに感じられる、かなり理想に近いジーパイになりました!
この後、衣に使う粉の配合や卵を使うかどうかを調整して、上のレシピの完成に至りました。
本当にほのかな香りですが、こぶみかんの葉を入れることで完成度が70%から90%くらいに一気に上がったので、ぜひ使ってほしいです。
使用したスパイスについて
フィリピンのスーパーではスパイスの小分け販売が一般的で、ガラムマサラと仕上げの山椒以外は安価で購入できます。
今日のジーパイレシピで使っているスパイスは、それぞれ別の用途にももちろん使えます。
クミンは肉系に合わせると一気に中東系のエスニック感が出ますし、チリパウダーもひき肉でタコスを作る時に便利です。
こぶみかんの葉はセブでは一部スーパーにしかありませんが、トムヤムクンやタイカレーには絶対入れたほうが良いハーブですし、カレー粉はいろんな料理に使える万能なスパイスです。
普段紹介しているレシピよりも材料をそろえるのが少し面倒かもしれませんが、もしも「五香粉が苦手だけど美味しいジーパイが食べたい」という方がいれば、ぜひ作ってみてください!
追記:この記事を書いてから約3か月後、2022年12月にChatimeのジーパイ(フードメニュー)が復活しました!
自分のレシピとの比較も含めて記事にしたのでよければご覧ください。
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