私はフィリピン・セブに13年住んでいますが、日本一時帰国中に大きな買い物をするときなどに、免税制度(※)を利用したことが複数回あります。
※海外在住者が日本での短期滞在中、日本国内で消費しないものを消費税免税で購入できる制度
ところが2023年4月に日本政府のルールが厳格化して、海外在住の日本人が日本で免税を利用するときに必要なものが増えました。
今回、この新ルール下で日本に一時帰国して免税で買い物をしてきたので、今日はその準備や買ったもの、お店での対応や注意点について紹介したいと思います。
近々一時帰国する方は参考にしてください!
消費税免税制度とは
海外から日本に来る外国人観光客が百貨店やドラッグストア、大型家電店等で利用している免税は、条件を満たしていれば、私のような海外在住の日本人も利用することができます。
消費税の10%分(免税手続手数料を課すお店では8.45%程度)安く買い物ができるので、一時帰国の際にここぞとばかりに爆買いする海外在住日本人にはお得な制度です。
日本人が一時帰国時に免税を受けられる条件は以下の3つです。
- 日本に入国してから6ヶ月未満であることを、パスポートの入国スタンプで証明できること(外交・公用・米軍パスポートを除く)
- 日本以外の地域に引き続き2年以上住所又は居所を有することを、在留証明もしくは戸籍の附票の写し(いずれも原本を提示)で証明できること
- 免税を受けるお店での1日の購入金額が5,000円以上であること
飲食店や交通費など「その場で消費するもの」や5,000円未満の買い物は免税対象外ですし、お店自体が免税に対応していない場合もあります。
有名なところでは、アップルストアが残念ながら免税対応していません。(以前はやってたけれど、iPhone転売屋=”日本国内で転売したりして国外で消費しない人達”に免税販売をしてしまったせいで多額の追徴課税をくらって以降、やめてしまいました)
パスポートの入国スタンプは、2023年4月のルール変更前から必要でした。
日本の空港の日本人用入国レーンに並んでいる自動化ゲートを通るとスタンプは押されないので、自動化ゲート後にあるカウンターで職員さんに頼んで押してもらう必要があります。

頼まないと押してもらえません
2年以上の海外在住を証明する書類は、「戸籍の附票の写し」か「在留証明」のどちらか1つでよい(どちらの場合も日本での利用時に原本持ち歩きが必要)のですが、「戸籍の附票の写し」は日本の本籍地の役所で取る必要があります。
私の本籍地は空港からも離れていて一時帰国中に立ち寄るには遠すぎるので、海外の在外公館でとれる「在留証明」を取ることにしました。
フィリピン・セブでの在留証明(免税用)とり方レポ
フィリピン・セブシティにある在セブ日本国総領事館で在留証明を取るために必要なものは、2023年5月時点では以下の6点でした。
- 在留証明申請書(セブ総領事館にある書類、現地で記入)
- 在留証明願い(セブ総領事館にある書類、現地で記入)
- パスポート原本
- 住所と滞在期間(2年以上)を立証できる書類:バランガイ証明書、申請者本人宛の公共料金の請求書、住宅賃貸借契約書、住所の記載がある銀行のステートメント等
※公共料金請求書や銀行ステートメントは全滞在期間分を持っていく必要があります - 戸籍謄(抄)本(本籍地の記載があるもの)※発行日の規定は無し
- 手数料500ペソ(約1,250円)
今後変化があるかもしれないので、これから在留証明を取得するという方は、在フィリピン日本国大使館の以下のページなどで最新情報を確認してください。
海外在住者にとって、戸籍謄本を用意するのが一番面倒かと思うのですが、私は数年前にセブの領事館でパスポート更新をしたときにとっておいた戸籍謄本が偶然手元にあり、それを使うことができました。

私がセブ総領事館に持っていった書類
公共料金の請求書は、VECO(電力会社)のものが今のコンドに住み始めてから全部の期間分あったので結構かさばりますが持っていきました。
期間条件を満たした賃貸契約書やバランガイサーティフィケートがあれば、1枚だけで2年以上の居住証明ができるので一番便利だと思います。
ちなみに、私は昔Lahugに住んでいた時、何かの用でラホグのバランガイオフィスにBarangay Certificate(居住証明)を出してもらったことがあるのですが、たまたま適当だったのかなんなのか、職員に「いつから住んでんの?あ、じゃあ20○○年から今まで住んでるって書いとくね。はいどうぞ~」と大した書類確認も無しにすぐに出してもらえた記憶があります。
今住んでいるITパークのあるApasのバランガイオフィスだとどうなるのか、また現在のBarangay Certificate申請に必要な書類は調べていませんが、平日に居住地のバランガイオフィスにすぐ行ける場合は試してみると良いかもしれません。
ついでに、ITパークから在セブ総領事館への行き方も紹介します。
ITパーク内JPモルガンビル裏手にあるITパーク出口へ向かって、
すぐ右に曲がったところにあるAboitez前のバス停で62Cのバスに乗ります。
アヤラセンターセブ近くのPhilam Lifeビル前で降ります。
AmazonのコールセンターとHSBC銀行とBDO銀行が入っているこのビルです。

左奥に見えるのがアヤラセンターセブ
降りたところから日本領事館のある2Quad Buildingまでは徒歩3分ほどです。
2Quadビルについたら、領事館のある8階へ行って、窓口で在留証明を申請したい、というと申請に必要な2枚の書類を渡してくれました。
1枚目の在留証明申請書はこんな感じの内容です。

免税利用の場合、本籍地記載は必須なので2番は「要」にします
2枚目の在留証明願に、名前や生年月日、住所等を記入していきます。
この「在留証明願」の現住所の部分は日本で免税利用するお店の人が見るので、フィリピンの住所を英語だけでなく日本語表記(カタカナ)でも記載する必要があります。
また、英語表記の住所は、2年以上の居住を証明する書類(私の場合は公共料金の請求書)と記載をそろえた方が良いとアドバイスされました。(Cebu IT Parkと書くか、IT Park, Apasと書くか等)
書類記入に5分程度かけて、公共料金請求書や戸籍謄本、パスポートなどの書類と合わせてチェックしてもらい、手数料500ペソを払って10分ほど待つと、さっき書いた「在留証明願」の下部分にハンコを押されて渡されました。
これが日本での免税利用時にお店に提示する「在留証明」となるようです。
とてもスムーズに対応していただき、2Quadビルに入館して30分後には在留証明を持ってビルを出ることができました。
そのままアヤラセンターでちょっと買い物をして、ユニクロ近くの出口前からITパーク行きのCIBusに乗り、ITパークへ帰りました。
かかった往復交通費は29ペソでした。
日本での実際の免税利用例
2023年5月の日本一時帰国時、私が免税で買い物をしたのは以下のお店です。
①大丸百貨店の化粧品カウンター
たいていの百貨店では各お店で普通に消費税込みで会計してから、百貨店内にある総合免税カウンターに行って免税に必要な書類(レシートとパスポートと在留証明)をチェックしてもらい、免税手数料(百貨店はどこも大体商品代金の1.55%)を差し引いた免税額を現金で返金してもらう、という流れになります。
なので百貨店で買い物した場合、安くなるのは10%でなく7~8%程度です。

税込9,350円の商品を買い、消費税850円-手数料131円=719円が返金されました。
週末の午後などは百貨店の免税カウンターに外国人観光客の大行列ができていたりして、そこに並んで「すいません日本人です…」と手続きするのは結構面倒なのですが、平日昼間に行ったのでとても空いていてスムーズに免税が受けられました。
②ユニクロ
暑かったり寒かったり気温の変動が激しい時期だったので、ユニクロでセブでも使えそうなカーディガンとシャツを買いました。
セルフレジが並んでいる一番端の有人レジで普通に免税販売(消費税加算無しの会計)をしてくれましたが、店員さんが対応に慣れていてとてもスムーズでしたし、免税手続手数料もかかりませんでした。
③ドラッグストア「ダイコクドラック」
ドラッグストアは外国人観光客へのアピールがわかりやすいですね。
4年前よりもさらに「Tax Free & 激安!」「免税!〇円以上買うとさらに〇%オフ!」みたいな中国語のポップが目立っていた気がします。
私はマツキヨや複数のドラッグストアがたくさんある地域で数店のぞいてから、お目当ての商品がまとめて買えそうなお店で6,000円ちょっと購入しました。
手数料もかからず、慣れた感じの方がスムーズに対応してくれましたが、お店が忙しそうな中店員さん同士の「先輩、日本人非居住者の方の免税って…」「それはね、、、私やるから〇君あっちお願い!」みたいなやり取りがあって、先輩にも〇君にもちょっと申し訳なかったです。
④無印良品
無印でも日焼け止めや梅肉、調理グッズなどいくつか買いたいものがあったので、前もってリストを作っておいてからお店に向かいました。
免税の買い物には商品の種類による包装のルールがあって、食べ物や薬などの消耗品は日本国内で消費されてしまわないように専用の袋に入れる必要があります。

左の一般物品は日本国内で使えるけど、右の消耗品は日本国外でしか開封できない(出典:国土交通省の免税サイト)
無印の店員さんに、一般物品5,000円以上、消耗品5,000円以上なら消耗品だけを免税用の袋に包装して一般物品はそのまま渡せますよ、と言われましたが、購入品の合計が8,000円ちょっとで中途半端だったので、全部まとめて包装してもらうことになりました。
免税購入品用の袋にはこういう記載があり、開けたらわかるようになっています。
無印では一番お会計に時間がかかりましたが、去年マニラのMuji(海外店舗)に行って日本よりも高い値段で買い物をしていたので、今回定価+免税で買い物できることが非常に嬉しく、買い物自体がとても楽しかったです。
実際使ってみて、良い買い物だった!と思えるものがいくつかあったので、また別記事で買ったものについて書きたいと思います。
結局、上記4店舗で28,800円ほど使いました。免税で安くなったのは2,700円くらいです。
大きな買い物をしていないので、金額的には小さいですね…。
2023年3月までの免税利用との違い
2023年4月からの新ルール適用による、以前の免税利用との違いにもいくつか気づきました。
①(在留証明を取る場合は)事前に在外公館へ行く手間や500ペソの費用が掛かるようになった
以前はパスポートと入国スタンプ、9Gビザ(もしくは永住ビザなど)のビザスタンプ、ACR I-Cardをお店で見せればそのまま免税が使えたので事前の準備は不要でしたが、今回の改正により免税利用に必要な在留証明を取るために、前もってセブの総領事館に必要書類を持っていき、手数料500ペソ(約1,250円)を払わなければならなくなりました。
(日本の本籍地で戸籍の附票の写しを取る人はその手数料や交通費がかかります)
総領事館までの交通費がかかる場合、日本で大きな買い物をしないなら、在留証明を取る手間と費用の方がかかってしまって赤字になることもあるので注意が必要です。
私の場合、在留証明取得にかかった費用は交通費と手数料で529ペソ(約1,320円)だったので、免税で15,000円の買い物をすれば元は取れるかな、と判断しました。
②お店の人はちょっと楽になったかも?
今回の新ルールへの変更で、日本のお店ではビザスタンプやACR I-Cardを見せる代わりに、在留証明を見せて海外居住者であることを証明するように変わりましたが、これはお店の人にとっては以前より分かりやすくなったのかもしれません。
以前は、世界各国の永住権やビザの形式なんてたくさんあるのに、店員さんにわざわざフィリピンの読みづらい9Gビザスタンプを見てもらって必要なら説明を加えて…という手順を踏む必要があり、店員さんにも手間をかけさせている感がすごくありました。
今回も一応ACR I-Cardを持ち歩いて出せるようにしていましたが、どのお店でもカードもビザスタンプのチェックも求められず、店員さんは在留証明(とパスポート)だけをチェックしていました。
世界各国の日本大使館や領事館で発行する在留証明ならある程度フォーマットが統一されていそうなので、その見方さえわかればすぐに免税対象者だと確認できるようになったのなら良かったと思います。
③日本出国時の税関での確認が簡略化した
一時帰国中に免税で買い物をした場合、最後に日本の空港から出国する時に、出国審査場手前にある税関エリアで免税利用をしたことを申請する義務があります。
2019年のコロナ前までの一時帰国時は、この税関で免税で買ったもののレシートも出せるようにしておく必要がありましたが、今は電子化されたらしく、パスポートさえ見せればOKとなっていました。(購入したお店の端末で入力された内容が税関に反映され、パスポート情報で紐づけられているようです)
今回、出国時の税関での免税申請にかかったのはほんの5秒ほどだったので、急いでいる時などはとても助かるな~と思いました。
ちょっと後悔したこと・免税利用の注意点
実は今回私が面倒でも事前に在留証明を用意して日本で免税を利用しようと思ったのには理由があり、当初は百貨店で化粧品を4万円分くらい買うつもりだったんですね。
特に私が使っている化粧水は2019年まではネットで安売りしておらず、一時帰国の度にデパートやモールの化粧品カウンターで定価で買っていました。
ところが、一時帰国の数日前になんとなくネットで検索してみたら、その化粧水が結構値引きされていたんです!楽天セールの時期が重なったためもあるかもしれませんが、普通に免税よりもネットで買った方がだいぶ安い、みたいな…。
それ(ネットで免税よりも安く買えるようになってた)を知った時点で既に在留証明は取った後だったので、失敗した…と思いました。
結局、ネットでの割引額が大きかったので、最低限必要な数の化粧水は前もってネットで買って家族に受け取ってもらっておき、化粧水以外の買い物でちまちま免税を利用することにしました。
ですが、一時帰国中に偶然その化粧水+乳液の期間限定キットが販売され、しかもネットではなく百貨店でしか買えないものだったので、一本だけ百貨店で免税購入したわけです。
お目当ての商品がネットで安売りされている場合、消費税免税よりもネットで買う方がお得になることもあるので、免税利用のために(在留証明発行費用などの)お金がかかる今は、一時帰国前にちゃんと元がとれるかどうかは考えておいたほうがよいです。
それから、デパート等がやっているキャンペーンや割引は、免税利用とは併用できないことが多いです。例えばデパートのクレジットカード利用で12%OFF、のようなキャンペーンをやっていて、帰国中にそっちの割引を利用できる場合は、レジや専用カウンターで手間のかかる免税で買い物するよりもそういうキャンペーンを利用する方が楽です。
あともう1つ、ものすごくしょうもないことですが、私は今回在留証明を初めて取りましたが、領事館で「在留証明書」みたいな何か新しい書類を出してもらえると思っていたら、自分が書いた「在留証明願い」の下部分にハンコが押されたものがそのまま在留証明になるんですよね。

この紙がお店で見せる「在留証明」になる(上部分は自分で申請時に記入する)
フィリピンの役所(厳密には日本の役所なんですが)に提出するつもりで日本語表記の住所は結構雑な字で書いたので、日本のお店で店員さんに見せる時にちょっと恥ずかしかったんです。
今度免税目的で在留証明をとるときは、日本で利用するお店の人が読みやすいように(もしかしたら店員さんはお店で住所の入力とかもしないといけないかもしれません)、もっと丁寧に記入しようと思いました。
最後はとっても小さいネタでしたが、これから一時帰国時の免税利用にそなえて在留証明をとる予定の方に、どこか参考になる点があれば嬉しいです。
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