フィリピンの小切手・新ルール【2025年7月から実施】

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この間、銀行から小切手の新ルールについてのメールが来ていました。
私はフィリピンでChecking Account(小切手口座)を持っています。
Saving Account(貯蓄口座)との大きな違いは、ATM/Debitカード(日本でいうキャッシュカード)の他に、小切手帳を持って小切手=Checkを発行できる点です。

その小切手発行時の書き方について、フィリピン全体で今月から細かいルールが設定されるようです。
メールを読んでみると、今まであまり考えずにやっていたことも今月からはアウトになる(小切手を受け取った人が銀行で換金できずに困ることになる)点が結構ありました。

私が小切手を発行する場合だけでなく、受け取る場合もチェックしないといけないですが、とても一回で覚えられない…!でもそのうち必要が出てきた時にまたメール探して読み直すの面倒臭すぎる…、そうだ、ブログで日本語でまとめておけば忘れなさそう!と思い、自分への覚書として記事にすることにしました。

また、フィリピン在住の日本人が個人の小切手口座を持つメリットや私の口座開設時の要件についても紹介しますね。

Write checks the right way.

The updated check format rules take effect July 1, 2025. Ensure smooth clearing by checking…

BDO Unibankさんの投稿 2025年6月26日木曜日

フィリピンでよく使われる先日付小切手=Post Dated Checksについて

フィリピンでは日本よりもビジネスシーンで小切手(Check)が使われる場面が多いです。
身近な例では、航空チケットキャンセル時の航空会社からの返金が小切手で行われたり、勤務先の会社から給料とは別の特別報酬が小切手で手渡されたりすることがあります。

日本では小切手に縁がなく、小切手といえば映画などで大物が「好きな額を書きたまえ」とか言いながらなんか細長い紙きれを渡してるな…、くらいの印象しか無かった私も、フィリピンに来てから仕事で(会社口座からの)小切手を発行したり受け取ることが何度かありました。

そして、あるタイミングで自分用の個人小切手口座も作ることにしました。
当時社宅として借りていた一軒家の大家さんが、長期賃貸契約で年間の家賃を毎年Post Dated Checksで払ってくれれば家賃を少し安くしてあげる、と言ってきたのがきっかけです。

先日付小切手(Post Dated Checks, PDCs)というのは、小切手に未来の日付を書いて発行すると、受け取った人は記載された日付以降に換金できる(小切手口座から引き出される)というものです。
月末に払う家賃なら、1ヶ月分の家賃の金額が書かれた12枚の小切手を、それぞれ1月31日、2月28日、3月31日、、、と先の日付を入れて大家さんに渡すと、大家さんは毎月末日以降の好きなタイミングで換金できるんですね。

フィリピンって家賃滞納する人が結構多いそうなんです。
やれ勤務先のトラブルで給料が入らないとか、車が壊れたり家族の病気で急な出費がとかの言い訳を並べて滞納し続ける店子に対し、何度も支払いを催促すると逆に恨まれる(事情をくんで待ってあげない極悪人扱い)のがストレスになる大家さんも多いようです。

でも1年分の家賃を先日付小切手=PDCsでもらっておけば、毎月ちゃんと振込まれるか心配しなくても良く、ひとまず安心(12ヶ月はとりっぱぐれる可能性が低くなる)、ということで喜ばれるようです。

ちなみに、小切手が換金できない=決済口座に残高が不足している状態、いわゆる不渡り(Bounced Check)になると、ペナルティとして結構な金額の費用(数千ペソ~額面の2倍まで?)が掛かるそうです。※経験が無いため実際の金額は不明
さらに改めて今調べてみると、フィリピンでは決済口座にお金がないことを知りながら小切手を発行した場合、刑事罰の対象にもなりうるという情報も出てきました。

また、知り合いのフィリピン人と雑談していて、彼女が持っている物件の1つを分割払いで売った相手がChecking Accountを持っておらず、小切手では無く毎月の銀行振込支払いで了承したところ、色々理由をつけて支払いが滞り始め、結局全然回収できてないのに物件からも立ち退かずに現在も裁判中、という話を聞きました。

小切手口座は常に口座にお金を入れておかないといけないので、その日暮らしのフィリピン人はそもそも持たないという人が多く、つい甘く考えてしまったけど小切手口座を作らせるべきだった、と言っていました。

彼女に「分割払い分を先日付小切手=PDCsで回収しなかったというのが、私の人生で一番後悔している点です。フィリピンでは、ちゃんと分割払いします!なんて口で言われても信用しちゃダメ。現金一括払いじゃない場合、PDCsじゃないなら売らない、と決めたほうが良い。お金に余裕のあるフィリピン人は大体小切手口座を持ってる」と言われてほおお…と思いました。

※フィリピンではRent to Ownという、毎月家賃程度の分割払いで物件を購入して全額支払わないうちから住み始めるというスタイルが一般的ですが、それを個人間でやること自体がフィリピンでは特にリスキーだと私は思います。

なので、外国人でもフィリピンで小切手口座を持っている・PDCsで支払うというと信用度が少し上がるというわけです。
フィリピンに長く賃貸で住むときに役立つ場合がありますし、車や不動産を分割で買うときにPDCs発行が必要になることもあります。

小切手口座開設の条件(私の例)

とはいえ、私はお金に余裕があるわけではありません。
このブログをよく読んでくれている方は、食費月1万ペソちょっと、電気代2千ペソ以下で暮らしてる私は決して富裕層ではないのをご存じかと思います。

でも、刹那的な生き方万歳&宵越しの金は持たねぇ的な一般的フィリピン人に比べると、そこまで自転車操業な訳でもないですし、1万ペソを常に口座にいれておくくらいはできます。

私が小切手口座を作った10年以上前に必要だったのは、以下のものです。

  • パスポートともう1つの公的な身分証(当時はACR I-Card)
    ※ACR I-Cardに記載されたビザステイタスは9Gビザ=ワーキングビザでした
  • 住所を証明できる書類(公共料金の請求書とかバランガイサーティフィケートとか賃貸契約書とか)
  • TIN Number(納税者番号)
  • 署名・サインの登録(日本でいう銀行印の代わりに手書きのサインが本人確認になるので、銀行で専用のフォームに何か所かサインを書いて提出)
  • 最初の預け金1万ペソを口座に入れる。この後も口座残高が月平均で1万ペソを切らないように維持しないと、口座維持手数料が毎月数百~千ペソかかる。
    ※この最低平均残高はMinimum Average Daily Balanceと呼ばれ、私の銀行では小切手口座=Checking accountは1万ペソ、貯蓄口座=Saving Accountは千ペソ。
  • 小切手帳=Check Bookは有料で1冊500枚入りが300ペソ。無くなったら銀行で注文する。

上記は私の口座開設時の情報で、銀行によっては収入証明だったり追加の書類が必要になるかもしれないので、口座開設時には各銀行で最新情報を確認してください。

それからごめんなさい、私はフィリピンのどの銀行が一番お得かや現時点で最も楽に口座を作れるか、口座種類による利息の違いなどには詳しくありません。
自分の銀行も職場に近かったなどの利便性から選びました。
セブ在住の日本人が良く使ってるメジャーな銀行は、BPI銀行、BDO銀行、メトロバンク、ユニオンバンクなどだと思います。

フィリピンの小切手新ルール・2025年7月~

前置きが長くなってしまいましたが、銀行からのメールにあった今月2025年7月からの小切手新ルールを箇条書きにしていきます。

小切手を発行しない人も、小切手を受け取った場合にこのルールにのっとっていないものは換金できない可能性が高いので、必ず受け取りのサインをする前に確認した方が良いです。

Important reminders regarding the proper writing format of checks
~ 小切手の正しい書き方についての重要なお知らせ ~
日付は数字のみを使い、月・日・年の順にMM-DD-YYYY形式で記載されていなければならない。

2025年1月2日なら、「01-02-2025」と表記。「/」ではなく「-(ダッシュ)」で区切ります。
※これまでOKだったJanuary 02, 2025や01/02/2025などと日付が表記された小切手は、2025年7月1日以降は預金や決済ができません。

 

金額の数字表記(Amount in figures)について、ペソとセンタボは「.(ピリオド)」で区切り、千や百万の単位は「,(コンマ)」で区切り、数字の前後に何も書き加えないこと。

例えば150万ペソなら、「1,500,000.00」です。
これまでは数字の書き換え防止のため「1,500,000.00_」「***1,500,000.00***」などと前後に記号を書き添える場合もありましたが、今後はアウトになります。

フィリピンの小切手書き方・新ルール(2025年7月から メトロバンク)

1画像で分かりやすかったメトロバンクHPの案内(参照:メトロバンク公式HP)

 

受取人名欄には、A.人名 / B.企業・団体名 / C.Cashなどを記入しますが、その前後に改ざん防止のため「***(アスタリスク)」や「-(線)」を書き加えることは可能。「A or B」などの組み合わせは不可。

この改ざん防止の記号書き加えは私も昔からやってました。個人名宛の小切手を渡した人がそれを落としてしまい、万が一似た名前の人が拾ったりしたら、ちょっと書き加えるだけで代わりに受け取れてしまいますもんね。(小切手換金時には受取人は銀行で身分証提示を求められますが、同姓同名なら防げなそう)

フィリピンの小切手書き方・新ルール(2025年7月から ユニオン銀行)

参照:ユニオンバンク公式HPより

組み合わせは不可、の例はこちらの画像をご覧ください。

受付できない(換金できない)小切手の受取人欄の例 フィリピンの小切手書き方・新ルール(2025年7月から ユニオンバンク)

受付できない(換金できない)小切手の受取人欄記載例

 

金額の文字での記載欄(Amount in words)にも、改ざん防止のための記号やセンタボ無しの場合のOnlyを記載することは可能。

小切手には通常数字(Figures)のほか文字(Words)でも金額を記入します。
例えば12万ペソなら、120,000 と記載するほかに、文字で「One Hundred Twenty Thousand Pesos」のように記載します。
改ざん防止のため「One Hundred Twenty Thousand Pesos Only」としたり、「***One Hundred Twenty Thousand Pesos***」と前後に記号をつけても良いです。

センタボ(小数点以下の数字)がある場合は、Onlyはつけません。
例えば10,000.25ペソの場合、「Ten Thousand and 25/100」「Ten Thousand and 25 Centavos」「***Ten Thousand and 25/100***」「===Ten Thousand and 25/100===」のように記載します。

以下の記入例画像が分かりやすかったです。(全部OKの例)

フィリピン小切手の宛名・受取人欄の実例 フィリピンの小切手書き方・新ルール(2025年7月から ユニオンバンク)

 

小切手発行者の署名は必須。(1名だけの場合も多いが、2名以上の署名が欄をはみ出してある場合もOK)

署名は、小切手口座の持ち主もしくはSignatory(任命された署名者・複数任命可能)の自筆のサインであることが各銀行によって確認されます。念のため換金前に発行者に銀行から確認電話が入ることもあります。

フィリピンの小切手書き方・新ルール(2025年7月から BPI銀行)

参照:BPI銀行公式HPより

以上です!

これまでのノリでなんとなく書いて発行したり、小切手を受け取った時にちゃんとチェックしないと、相手方を困らせる&自分が銀行に行って困ることになりそうなので、この機会にまとめてみました。これで忘れにくくなりました!

フィリピンの銀行では1~2時間待たされることも珍しくないのに、そうやって待ったあげく換金できないと言われたらものすごく無駄ですもんね。

私も一度、発行してもらった小切手の受け取り人欄に1文字だけスペルミスがあり(受け取ったときにちゃんとチェックしてなかった)、銀行で1時間近く待った末に私のIDの名前と一致しないため換金できないと言われて発行元に再発行を依頼し、結局受け取りまで数週間余分にかかったことがあります。

フィリピンで、小切手での支払いを受け取る方や小切手を発行する方は、要チェックです!

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