私が仕事でセブに住むようになって12年になりますが、この間色々なタイプの住居に住みました。4年前から現在までは、ITパークにあるコンドミニアムに住んでいます。
最初の1年と今は一人暮らしですが、2年目からは同僚とシェアしていたので、一軒家率が高かったです。
アパーテル
アパーテルとは、アパートメントホテルのこと。
ワンルーム(Studio)やワンベッドルーム(1BR)の単身者向けの部屋が日本のアパートのように並んでおり、フィリピンの場合は警備員がいたり、受付があって電気水道代の支払い受付や掃除サービス手配等をしてくれることが多いです。
○ メリット:賃貸期間は2週間から3ヶ月など短期間でも契約可能な物件が多い。
必要最低限の家具や調理器具なども付いていることがほとんどで、新生活を手軽に始めるのにぴったり。インターネットやケーブルTVの契約も込みのところが多く、通信会社選びや契約・工事の手間が省ける。
私が住んでいたところでは受付で荷物の預かりをしてくれたり、現地のお店や習慣についての相談もできたため移住初期には助かりました。
外国人多めのアパーテルだったため、他住民と在住外国人ならではの情報交換ができたのも便利でした。
× デメリット:一軒家やコンドに比べて設備レベルの割に家賃高め。確かワンベッドルームで月25,000ペソくらい。(今なら3万ペソ以上するかも)
手軽に生活をスタートできる反面、セキュリティ面は微妙。
というのも、住民の入れ替わりが激しい&遊ぶために滞在している外国人も多く、毎晩パーティーをしてうるさい入居者、ゴミのポイ捨て等マナーの悪い入居者の割合がかなり高かったです。
こじんまりしている分距離が近いので余計に気になりました。若い女性は選ばないほうがいいかも。
一軒家
12年のうち約7年は、4軒の一軒家に住みました。バニラド、AS.Fortuna St.沿いなどセブでは日本人が割とよく選ぶ地域のヴィレッジ内が多かったです。
ヴィレッジとは、フィリピンの住宅形式でよくある、ゲートと塀に囲まれた住宅街のこと。囲われた敷地内に一軒家がたくさん集まっていて、ヴィレッジ住民共有の設備が無料で使え、ゲートの出入り管理によってある程度のセキュリティも担保されます。
ただヴィレッジのレベルはピンキリで、中級以上だとヴィレッジ内共有のプールやジムやテニスコートや敷地内の道路が綺麗に維持され、ちゃんと機能する管理部などがあり普通の一軒家に住むより何かと利便性が高いです。
さらに常時ヴィレッジ内を巡回する警備員がいたり、ゲートの管理も厳密で安心感があります。
一方、住宅の家賃・ヴィレッジ管理費ともに安いヴィレッジでは、警備員は無し(or 大体寝てる)・ゲートの監視カメラが壊れている・あってないような低い塀・共有設備は屋外の木に設置されたバスケゴールだけ・野良犬や行商人がヴィレッジ内に余裕で入ってくる、ということもあります。
私は、中級ヴィレッジ(高級ではない)内の、3ベッドルームで家賃3万~5万ペソ前後の一軒家に複数人で住んでいました。
○ メリット:一軒家で3ベッドルーム以上だと、かなり大きなキッチンやバスタブ、庭やテラスがついていることもあり、コンドミニアムよりもずっと広くて開放的。
近隣住民と仲良くなれれば、料理をおすそ分けしあったり、生活について相談したり、ご近所づきあいも自然にできて孤独にはなりにくい。
× デメリット:新築でない限り、見た目はきれいにリフォームされていても築年数がある程度たっていて不具合が頻繁に出る家が本当に多い。
私が住んだ4軒の家でも、屋根の痛みによる雨漏り、ドア・床・水回り等の劣化、ネズミ・ゴキブリ・白アリ問題など、どれかは必ず経験しています。フィリピンの一軒家はすきまが多い(冬がないので断熱をあんまり考えてない?)ので、日本の一軒家以上の虫対策は必要。
騒音やプライバシーの概念が日本と全然違うので、近隣の家やヴィレッジ内の他の住人にハズレがあると悲惨なことになる。
快適性は家のオーナー(大家)次第でもあります。海外経験の豊富なオーナーさんは住宅設備のクオリティも高かった(キッチンや水回り設備に輸入品が多く壊れにくく使いやすい)し、なにか相談するとこちらの要望をなるべく叶えようとしてくれて有り難かったです。
逆にかなり高齢の外国人嫌いっぽいフィリピン人オーナーさんの場合、故障があっても、これがフィリピンだから、と開き直ってなかなか修理してくれず、イライラさせられることもよくありました。
一軒家(賃貸)の場合、コンドのように会社組織になっている管理部を通してではなく大家さん個人と一対一でやり取りすることが多かったので、大家さんの人柄はめちゃくちゃ重要でした。
他に、フィリピンでこれから住む家/ヴィレッジを見る時にぜひチェックしてほしいのが次の2点。
- ヴィレッジ内や近隣に野良犬や放し飼いの犬、放置された糞などが無いか
ヴィレッジなのに野良犬が入ってこれるということは、泥棒や空き巣も入ってこられます。衛生面・防犯面がちゃんと管理されていないということなので要注意。
一見きれいな高級ヴィレッジでも大型犬を放し飼いにするマナーの悪い住民がいることもあります。
- ニワトリを飼っている家が近くにないか
フィリピンでは、闘鶏のためにニワトリを飼っている家が多いです。私が住んだ中で一番高級だったところは、ヴィレッジ内でのニワトリ飼育を禁止していたので快適でしたが、それ以外のほとんどのヴィレッジや一軒家では早朝でも昼間でも、どこかしらからしょっちゅうニワトリの鳴き声が響いていました。(最初の頃は起こされて困りましたが1年くらいで慣れることはできます)
あとは、住民の車などを見るとそのヴィレッジの値段が反映されていて、高級ヴィレッジは外車や日本車ばかり、中級以下は軽自動車や韓国やインドの低価格路線の車が中心、と分かりやすいです。
ですがフィリピンではお金持ちでもマナーが悪い人、お金があることを鼻にかけて周囲に迷惑をまき散らす人もいるので、高級だから安心とも言い難いです。
これからフィリピンやセブ島に移住するという方で、ご近所づきあいしたいという方や、敷地内のプールやテニスコート、ジムなど広い共有設備に魅力を感じる方にはヴィレッジはオススメです。
ですが、特にプライバシーを重視したい方にはヴィレッジはリスクが高いかな、と思います。
私が住んでいたあるヴィレッジ内の一軒家では、オーナーさんが自分の雇っている大工さんを家に派遣して頻繁に修復や庭木の手入れをしてくれるのですが、店子(私)に連絡無しに手配するので困ることがありました。
例えば日曜の朝6時に物音がして起きると、自室のすぐ横の窓の外で男性作業員が作業していて目が合ったときは(こっちは半裸)、非常に居心地の悪い思いをしました。しかも複数回ありました。
また、庭でパーティーをしていた時、普通に自分たちだけで楽しんでいたのですが、後から「(外から見えるところでパーティーをしていて)ご近所さんを招き入れない、ごちそうのおすそ分けをしないのはケチみたいな概念がある」と聞いて「めんどくさ!」と思いました。フィリピンは、日本ほど同調圧力は強くないけど、完全な個人主義でもなく、結構こういう陰口文化があります。
このときから、コンドミニアムに住みたいな、と思い始めました。
コンドミニアム
コンドミニアムとは、日本で言うマンションです。フィリピンの場合、プールやジム、ロビーや受付などの共有設備がついていることが多いです。
フィリピンや他の東南アジアでも、日本人が移住して一人暮らしするなら、まずはコンドミニアムを選ぶという人が多いと思います。
○ メリット:セキュリティとプライバシー!例えばうちのコンドミニアムでは、フードデリバリーはコンド1階入り口までしか入れず、住人は1階まで行って警備員の目の届くところで受け取ります。
またネット注文した商品などの配達物や電気代等の請求書も、ドア前に届くのではなくコンドのコンシェルジュ(受付)が受け取って預かってくれるので、基本部屋の前の廊下まで外部の人が入ってくるということがありません。
唯一、コンドが契約している飲料水の配達会社のみ、注文すると部屋のドア前まで水を持ってきてくれます。
また、部屋に大物家具を入れたり工事をするときには、コンドのコンシェルジュにオンラインでWork Permitという外部の業者さんを入れるための申請書を書いて提出します。
配達業者や工事業者の名前と人数、持ち込み機材、責任者名と連絡先などの情報が必要なので面倒といえば面倒ですが、おかげでコンドの廊下などではほぼ安全が保たれています。
ここまで厳しくないコンドもあるとは思うのですが、ヴィレッジや一軒家に比べて空き巣などの被害は一番起きにくいと思います。
(数年前、飲料水の配達員の扮装をした泥棒が、セブのコンドではない集合住宅で空き巣を働いていたという事件もありました)
○ デメリット:一軒家に比べると狭くなりがち。管理費が高い。
また、キッチンでガスが使えるコンドがほとんどない。火事防止のためIH調理器しかいれられない(うちのコンドは天井に煙探知機がついていて、IHコンロでもたくさん煙を出すと警備員が飛んできます)。
コンドであっても、同じフロアにゴミ捨てや騒音などのマナーが悪い住民がいると影響があるのはヴィレッジと同じ。
私は4年前に今のコンドに越してきて、やっとプライバシーを手に入れた気がします。
ただ、最初の半年ほどは、斜め向かいのユニットに住んでいた夫婦が週3回ほど大声で罵り合いの喧嘩をするのでうるさくてきつかったです(コロナ後にその夫婦は引っ越していったので今は静かです!)。
日本のマンションではあんまりないのですが、こちらのコンド、共用廊下と自分の部屋の境目のドアの下のすきまがかなり広いです。ここから音が漏れてくるので、同じフロアにうるさい人がいたり、クリスマスなんかで廊下で歌っている人(普通にいます)がいる場合は結構聞こえます。
まとめ
私は今のコンド生活に満足していますが、もちろんコンドにより設備・ルール等も異なりますし、アパーテルも一軒家もその当時のニーズに合ったそれぞれのメリットがありました。
これからフィリピンに移住する方は、できればAirbnbなどを利用して短期契約で何種類かの住宅に住んでみて、一番自分の目的や性格に合う環境を見極めてから購入したり長期契約することをお勧めします。
また、今後の記事では、今住んでいるコンドミニアムの良い点悪い点や、4年間住んで2回あったトラブル事例を紹介しようと思っているので、そちらもコンド選びの参考にしてもらえればと思います。
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